気軽に借景庭園を楽しめる京都の天寧寺。秘められた歴史のロマン!?も。
- tripampersand
- 2016年7月14日
- 読了時間: 3分

京都の中でも特にお寺が立ち並ぶ寺町通り。もちろん、全てのお寺が公開されているわけではありませんが、ふらっと立ち寄れるお寺も多くあります。その一つが天寧寺です。庭も素敵ですが、調べてみると、歴史との関わりも興味深いものでした。
天寧寺の歴史には戦国武将の影もあり!?
天寧寺は曹洞宗のお寺です。会津城下町にあったお寺が16世紀後半にここに移転されたと伝えられています。伊達政宗が会津に侵攻したことで起こった戦いのせいで、寺が全焼してしまったためだそうです。
その再興を援助した一人が直江兼続だそうで、不仲説が囁かれる伊達政宗との確執がこんなところにも影響していたりして、なんて一人想像してしまいます。
この天寧寺には江戸時代の茶人、金森宗和や剣道示現流の開祖といわれる善吉和尚のお墓があるということです。茶人はわかりますが、示現流の開祖については…ということで調べてみました。
天寧寺と縁のある示現流について
幕末ファンなら当然の知識かもしれませんが。示現流は薩摩藩に伝わる古流剣術。「一ノ太刀を疑わず、二ノ太刀は負け」と言われ、初太刀で一撃必殺を目指す剣術ということで、新撰組にも恐れられていたとか。幕末当事、様々な流派、剣術が存在していた中でも、最強の剣術の一つであったことは間違いなさそうです。つい最近まで、そんな「実践的」な剣術が求められた世の中であったというのは、俄かには信じられない話です。
この示現流を立てた人物が東郷重位。重位は京都で天真正自顕流の剣技を相伝され、そこに自らの工夫を加え、示現流を創始したと言われています。京都でこの剣技を相伝したのが、天真正自顕流を継承していた善吉和尚でした。なんで和尚が剣術を?と思ったのですが、父親の仇を討った後、出家したのだそうです。
天寧寺は曹洞宗のお寺。そもそも曹洞宗とは?
曹洞宗といえば「只管打座(しかんたざ)」、ひたすら座禅の修行に打ちこむこと、その座禅する姿そのものが悟りの姿という、ストイックな宗派です。ちなみに、同じく座禅を行う禅宗と呼ばれる中には臨済宗もありますが、通路の方を向いて座禅を行うのが臨済宗、壁の方を向いて行うのが曹洞宗だそうです。やっぱり曹洞宗はストイック・・・。
その辺りが、ひたすら己と向き合い鍛錬を通じて剣技を習得する剣士に通じるところがあったのかもしれません。
歴史ファン、じゃなくてもオススメの理由
そんな善吉和尚のお墓もある天寧寺ですが、歴史に興味のない人も、ぜひ、立ち寄ってみて下さい。山門から中を眺めると、一服の画のようなので、この山門は「額縁門」と呼ばれています。

大きくはない庭ですが、比叡山が見事に借景となっています。是非、山門に近づいたり、離れたり、比叡山が上手く見える距離を探してみることをお忘れなく。
中の庭園も手入れが行き届いていて、その中に建つ本堂も趣があります。しかも、誰もいない(お寺の係りの方も特に姿は見えませんでした。)ので、思うままに眺めることも、写真を撮ることもできました。もちろん、山門を出入りするのも自由です。

寺町通りを歩く際は、少し足を伸ばして(鞍馬口通り近くなので、京都中心部からはかなり北上する必要がありますが・・・)訪れてみてはいかがでしょうか。
歴史はありますが、自分の家の庭(といったら言い過ぎですが)のように、ふらっと入って、気ままに歴史に思いを馳せたり、写真を撮ったり。気取らず訪れることができるお勧めのお寺です。
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