アイルランドへの旅 ホース
- tripampersand
- 2016年4月10日
- 読了時間: 2分
ダブリンの郊外にある小さな港町ホース。
旅に出るまでノーチェクだったこの場所を訪れることになったのは、一軒のカフェでの出会いがきっかけだった。
肌寒い中歩き回って疲れた体を休めようと入ったその店は、引っ切り無しにお客さんがやってくる人気店で、人がすれ違うのも難しいくらい狭い店内はお客さんでいっぱい。

そんな中運ばれてきたタルトは予想以上の存在感で、思わずはしゃいでカメラを取り出すと、横から女性が声をかけてきた。
「よかったら、写真お撮りしますよ」
聞けば母、娘、孫の3世代でお茶をしていた地元の方だった。どこの国でも変わらないのが、甘いものとおしゃべりが大好きな女性達。話をするうちにおばあさんが「ぜひ行ってみて!」とお勧めしてくれたのが、ホースだったのだ。行き方や一押しのレストランを一生懸命説明してくれて、「はい、ぜひ行ってみます!」と伝えた以上、もうこれは行くしかない。
正直、ガイドブックを見ても何がある、というわけでもなさそうで、取り敢えず行くこと自体を目的に電車に乗った私たち。降り立ったのは気を付けなければ通り過ぎてしまいそうな小さな駅だった。
港に停泊するヨットやボートを眺めながら海辺まで歩く。堤防に腰かけて肩を寄せ合うカップルや、犬を散歩させる人。キャッチボールする親子や走り回る子どもたち。

ここがアイルランドでも日本でも、そんなことはどうでもよくなって、週末のひと時を思い思いに過ごす人々とその向こうに広がる海と空とその境界に漂うヨットを眺めていると、心が解れていくのがわかる。今、幸せかと聞かれたら迷わずイエスと答えただろう。
うん、ほんと来て良かった。

残念ながらおばあさんお勧めのレストランは場所がわからず、他のお店に入ったけれど、ビールも料理も店員さんも文句なしの店だった。
特別なことをしなくても、旅は満ち足りたものになるのだと、改めて教えてくれた1日だった。

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