top of page

ハワイへの旅 5日目①

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年4月12日
  • 読了時間: 4分

そんな中、どうにかうつらうつらする私を眠りから引きづり出したのは、キッチンからの物音だった。ん、この音は!

 そう、なんと、キャンプ場の炊事場にはありえない、コーヒー豆を挽く音だった。場所は屋外でも、設備は万全。電子レンジに冷蔵庫は当たり前。自動のコーヒーミルだってあるんだ。えっへん!

 仕方なく、睡眠を諦め、朝食を取るべくキッチンへ行く。

「GOOD MORNING!」

 爽やかに挨拶を交わした相手に見覚えが。

もしかして昨日の怪しげな彼(メガネ君じゃない方)?朝はまともなんだ。人当たり良い自由人といった印象。でもこれは仮の姿。触らぬ神に祟りなし。

 早々に荷物をまとめ、私たちはこの宿を後にした。今から思うとあのメガネ君が一番まともだった気がする。私の旅行歴屈指のすごい宿だった。ほんとに。

キラウエア灯台

 吹きっ晒しの宿を逃げるように後にした私達が向かった先は、キラウエア灯台。

 ハワイ最北端に位置するこの灯台は、太平洋を航海する船にとっては命を?繋ぐ灯であった、というのも今は昔。

 その役目を終えた今日、灯台としてではなく、海鳥たちの保護区として、訪れる人々を楽しませてくれる。

時期によってはアルバトロスの子育ても観察できるという。

(以前、他の場所で目にしたが、断崖絶壁から飛び立ち、気流に乗って悠然と空を舞う姿に思わずため息が漏れた。その名の通り、気品ある美しい鳥、と言いたいところ、なのになぜ、日本ではあんな名前になってしまったのか・・・。呼ぶも哀しいアホウドリ。)

 今は残念ながら子育てシーズンではなく、今回は彼らの雄姿を見ることは叶わなかったが、吸い込まれそうな断崖には無数の鳥たちが巣を構え、ギャーギャーと賑やかなことこの上ない。

 ただし、辺りに広がる無数の白い物体。頭上には気をつけなければ。

 本日夕方の飛行機で私たちはカウアイ島を発つことになっていた。

 それまでに是非、訪れておきたかった場所。それは、初めの宿で一緒になったケンタッキー夫妻一押しの場所。

 私の英語力不足プラス夫妻の記憶不足で甚だ怪しい情報を元に、目的地への道を辿る。

 夫人曰く、

「とにかく、道がなくなるまで、ずっとずっと進むのよ。すると周囲を見渡せる高台に出るから。そこからの眺めが最高だったの。お昼を持っていってそこで食べると良いわよ。」

 私たちはろくに地図にも載っていない道をひたすら突き進む。

 やがて、道幅が狭くなり、前方に夫人の話していたと思われる川が現れる。

「そうそう、道中二、三回、水が流れている場所を横切るわ。大丈夫。大したことない水量だから」

と言っていた気がする。(たぶん)

 その川の向こうはきれいに整備されていて、東屋があったりするところからみると、ここは通れるはずの場所。

 だが、明らかに前方の水の流れは「大した」物だった。進むべき道は完全に川の底に沈んでいる。ひっきりなしに車がやってくるものの(ガイドブックにでも載っているのだろうか)、諦めて引き返す人々が続出。

車を降りて近づいてみるも、川の中央辺りは「急流」といえるほどの勢い。

 そういえば、前日雨が降っていた。恐らくそのせいで「ちょっと道の上に溢れ出す程度」であった水量が「溢れ出して道を飲み込む程度」になってしまったのだろう。

 果敢にもその川を渡る車が!と思ってよく見ると、ジープであった。しかも、車体の半分は水に浸かろうかという有様。

 対する私達の車は四人の乗りの普通車。エンジンが無事に済む保証もなし。気の小さい私たちがチャレンジできるわけもなく・・・。

 けれど、ここでまたしても変なプライドが頭をもたげる。(と偉そうに言うが、既に現場到着から一時間ほど経過。)

「行く、よね」

 お互いの意志を確認し合い、ズボンをたくし上げて(妹はスカートだが)いざ、水の中へ。周囲からは賞賛の眼差し。(だったはず。)

 やはり相当の流れで、なかなか次の一歩が踏み出せない。しかも、私たちはビーチサンダル。下手に足を持ち上げてビーチサンダルが流されては大変。(自分が流されたらもっと大変だが、それは敢えて考えない。)

 私はこの時、日本から履いてきた靴を、悪臭を放つ、という理由で捨ててしまっていた。というのも、カヤックをした際にずぶ濡れになり、今日まで乾かずじまいだったからだ。といわけで、履く物といえば、ハワイ到着日に購入したこのビーサンのみ。

 亀のようにのろのろと、へっぴり腰で進む姿は格好悪いことこの上ないが、そんなことは言っていられない。

 それでもどうにか渡り切って、ほっと一息。

無事に難所を乗り切った私たちは意気揚々と、お昼を食べる絶好の見晴らしスポットを目指して歩き始める。

 予想以上に急な上り坂が続き、道の先はくねくねとカーブしているので、一体、どこまで続いているのか、先が見えない。そして、こちらは予想通りだったが、人影は全くなし。

 鬱蒼と茂る森の中を走るアスファルトの道。

 すると、またしても前方に川が・・・。

「も、もちろん、渡るよね!」

 保険のため、一人がほぼ渡り切る頃を見計らって、もう一人が渡るという作戦。

 今度も無事にクリア。

 やれやれ。

コメント


 © 2019 Trip Ampersand

bottom of page