ドイツへの旅 3日目② ヘプ→ニュルンベルク
- tripampersand
- 2016年5月11日
- 読了時間: 4分
ドイツ行きの列車は混み合っていた。
二人席は空いていなかったので、妹とは分かれ、私は年齢不詳のおじさんの横に座る。山小屋に籠もっていそうな雰囲気。
しばらくするとそのおじさんは大きなバックからごそごそと何やら取り出した。
横目で窺うと、ローストチキンとパンだった。チキンは丸ごと骨付き。オーブンから出してそのまま包んで持って来たに違いない。器用に手で裂きながらパンと共に食べている。豪快すぎるランチタイム。
行きと同じく、ドイツに入ってすぐの街で電車を乗り換える。電車が時間通り来なくて心配になって周囲を伺うと、そわそわしているのは私達だけじゃない。ホームの電光掲示板には電車の遅れを知らせる表示(日本だけじゃないのか!)。アナウンスも流れてくる(全くわからないけど。)
そういえば、イギリスを旅した時は何の断りもなく平気で1時間とか電車が遅れてたよな。
ドイツの国民性にちょっぴり親近感を覚える。
二十分ほどして到着した列車に乗り込み、再びニュルンベルクへ。駅前の職人広場を抜けて、街へ出る。ニュルンベルク名物の焼き菓子、レープクーヘン屋を見つけ、思わず足を止める。シナモンが利いた味そのものより、お菓子を入れた缶がかわいくて即購入。店のお兄さんはとても愛想が良く、それだけで、雨のせいで少し陰鬱としていた気分も盛り上がる。
雨は降ったり止んだり。そのせいか、まだ2時過ぎだというのに中央広場のマーケットはほとんどが店仕舞いをしていた。

願い事をしながら3周回し、誰にも言わなければ願いが叶う。
そんな逸話の残る金色の輪があるは「美しの泉」。その泉に聳える金色の塔が、マーケットに立ち並ぶ店と、観光客が差す傘の間から姿を見せている。鈍い色の空の下では輝きも半減。
有名な金の輪は思ったより高い場所にあった。私達より遥かに大柄な欧米人が手を伸ばして輪を回している。
日本人平均身長を下回る私達。
抱え上げてくれる素敵な男性がいればなぁ、とカップルを横目で見つめたりはすまい。。。
その向かいの土産物の前でウィンドウディスプレイを見ようと振り向いた瞬間、目が合ってしまった。
にこっと笑って話しかけてきたのはアジア系アメリカ人。一人旅をしているという。同じアジア系ということで親しみを感じたのか、一緒に食事でも、と誘ってくる。この後、今日の宿であるペグニッツまで行かなければならない。観光に割ける時間が限られている。そもそも私は、この土産物店が気になっている。
「お腹が空いてないならお茶でも……」
一人旅の寂しさを知らないわけではないけれど、丁重に断った。
実の所、お腹は空いていた。
土産物店を満喫した後、ニュルンベルク訪問の目的の一つでもあるソーセージを制覇するため、ソーセージ専門店に寄ることにした。
小さな店内は人がすれ違うのもやっとで、満席。先ほど、ソーセージの挟まったパンを手に店から出てきた若者がいたから、テイクアウトも可能なはず。
ここで順番を待っている時間は惜しい。
だけどテイクアウト方法がわからない。
忙しなく行き交うスタッフは私達には目もくれない。
数分後、ようやくホールを取り仕切っている(つまり何も料理を運んでいないので、他の人より暇そうな)おじさんに訴えて、レジでお金を払い、メモを受け取った。でもそのメモをどうしたら良いのかわからない。更にまごまごしていると、ウェイトレスが気づいて身振りで中央を指す。
カウンターに囲まれた店の中央で、ソーセージが香ばしく焼かれていた。そのカウンター越しにメモを渡し、ようやくオーダーが通る。すぐに、湯気の立つソーセージ3本がパンに挟まれて出てきた。

いつの間にか私達の後ろにはテイクアウトを待つ客が並んでいたので、そそくさと店を出て、店の前の通りで早速頬張ると、表面をこんがり焼かれた熱々のソーセージから肉汁がじわっと零れた。腹ぺこだったはずなのに、食べきれないくらいのボリューム。これで2ユーロ。さすが、ソーセージの街、ニュルンベルク!
食欲が満たされると元気も復活。中心分を離れ、緩やかな坂道を上りながらカイザーブルクを目指す。

カイザーブルクはその言葉通り、神聖ローマ皇帝の城だった。そこから街が一望できる。
皇帝も自分の治める国を見下ろして物思いに耽ったりしたんだろうか。
城の周囲を西に向かってしばらくすると、ドイツ・ルネッサンスを代表する画家、デュラーが晩年を過ごした家が現れた。白い壁に赤く塗られた木組みが映える。経た年月のせいか建物自体が歪んでいる。まるでおもちゃの家のよう。
その前を過ぎ、入り組んだ道を今度は下っていく途中、一軒の小さなお店にアンテナが反応。数人入れば一杯になってしまうほどのスペースに、様々な切り絵のカードが飾られていた。何時間でも過ごせそうなその空間で吟味を重ね、お土産を購入。
それから一息に街中へと戻る。
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