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オーストリア・スロヴァキア・ハンガリーへの旅 4日目② メルク→デュルンシュタイン

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年6月14日
  • 読了時間: 3分

下車予定のデュルンシュタインまでは1時間と少し。途中、シュピッツに立ち寄ったが、乗り降りする乗客はほとんどいない。そこでは発着のため船体が360度回転し、面白い景観を楽しめた。船はクレムスまで向かうものの、私たちと同じようにデュルンシュタインで下船する観光客もそれなりにいる。

町は丘の上から広がっていて、港からは急な坂や階段を上がらなければならない。それにも関わらず、降り立ってすぐに私はこの街が好きになった。

デュルンシュタイン

きらきら反射する川面とその背後に広がる山の緑に囲まれて、町には穏やかな空気が流れている。

坂を上りきり、メインストリートに出たところで目に飛び込んできたのはかわいらしいパン屋。どこへ行っても素敵なパン屋に出会うと気分が浮上。

お昼はとっくに過ぎているので、品揃えはそれほどではなかったけれど、どれにしようかじっくり迷う。それが至福の一時。ちょうど遠足なのか、小学校低学年くらいの集団がやってきた。パン屋から大きなバットに入れられたパンが運び出され、一つずつ配られて行く。私たちにはお昼代わりだけど、彼らにとってはおやつといったところ。

シュロスホテル

そのメインストリートの端にあるのが本日の宿、シュロスホテル・デュルンシュタイン。

人生初の5つ星ホテル。といっても格式張ったところは全くなくて、肩の力を抜いて滞在できる。部屋の作りは流石に古城ホテルの風格があって、バスルームの白と金色とピンクのコーディネートに思わずため息がもれる。豪華なウェルカムフルーツも気分を盛り上げてくれる。そのフルーツで暫し旅の疲れを癒してから、町の散策に出かけた。

デルュンシュタインの街並

石畳が続く道の両側には土産物を売る小さな店が軒を連ねる。この地方の特産というアプリコットを使った製品も多い。ジャムはもちろん、リキュールや蜂蜜、石鹸、蝋燭、リップバームもアプリコット風味。

メインストリートといっても二百メートルほどで、車が一台通れるほどの幅しかない。あっと言う間に反対側の端までたどり着く。

眼下に広がるのはブドウ畑。それが河辺まで続き、その先のドナウ川と山々を眺めていると、数百年前、当時の人もここからこうして同じ景色を目にしていたと、確信に近い思いが浮かぶ。

背後の山の上にはリチャード王が幽閉されていたケーリンガー城跡があるはずだが、そこへ続く道の険しさに戦意喪失。

代わりに来た時とは別のルートで船着場まで下ってみることにする。

洞窟のような通路

メインストリートから続く石畳の階段は蔦に覆われた壁面の隙間に細く続いていて、正面の建物の下にぼっかりと空いた穴へと消えている。下るにつれて日光が届かなくなり、ひんやりした空気と、どこか湿っぽい匂いが漂い出す。そしてトンネルを抜けると、ドナウ川。

青い空の下、吹き抜ける風の中を河に沿って歩く。何より贅沢で、平和で、幸福な一時。帰り道は当然上り坂だけれど、左手に続く何世紀も昔の崩れかかった、それでもこうして残っている城壁、その歴史に思いを馳せている間に上りきってしまった。

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