オランダへの旅。３日目①チーズの街、エダムを目指す。

アムステルダム中央駅は便利だけど、色々手間取る。

　今日からオランダ国内を移動する。２泊したアパートに別れを告げて、アムステルダム中央駅へ向かう。午前中は中央駅からバスに乗ってエダムを訪問予定。というわけで、スーツケースが邪魔。

　昨日、駅のサインに鞄のマークも見つけていたから、それを辿っていけばロッカーがあるはず・・・なのに、ない！

　確かにサインはあるのに、その付近にそれらしきものはない。諦めてインフォメーションセンターに聞きに行く。

「真っすぐ行って、左手」

「でも、突き当り、左手には改札しかなくて…」

「だから、そこにあるんだって」

　もしかして、改札の中にあるってこと？

　でも、電車に乗らないので、切符は持っていない。

「何言ってんの、改札入るだけならみんな入れるでしょ」

　みたいなことを、やる気なさそうな彼は言った。

　確かにゲートにバーはない。けれど、横にカードや切符（紙の切符もタッチ式）タッチするパネルがあって、「乗り降りの時タッチしてくださいね」と散々言われていたから、タッチしなければ入れないと思い込んでいた。

　まさか出入りは自由とは。（電車に乗らなければ問題ないらしい。）

　改札入ってすぐ、ロッカーコーナーを発見。ずらっと並んでいる。大きい方だとスーツケース２個入る。さあ、ロック、と思って金額を確認。ん？大きい方は１０ユーロ！数時間、預けたいだけなのに・・・。ちなみにエダムとその周辺地域（ホールンやフォーレンダムなど）のバス周遊１日券も１０ユーロ。

　バスに乗る前にトイレに行っておこうと、妹にチケット購入を任せてトイレに向かう。駅のトイレも有料だった。７５セント。微妙に小銭が足りない。

　仕方なく戻って、妹が持っていた小銭もかき集める。さあ、これで大丈夫、とトイレ入り口に設置されたゲート横に投入しようとして、ある表示に気がついた。使用できるコインは２５セント以上です。こっちは必死に５セント１０セントとかき集めたのに！

　困っていると係のおじさんがやって来た。

「あの、２５セントに交換してくれませんか！」

「悪いね。細かいのは持ってないよ。あ、でも１ユーロになら両替できるけど」

　結局、５ユーロ紙幣を１ユーロ５枚に両替。１ユーロコインを投入すると２５セントのおつりが出てきた。やれやれ。お財布が一気に小銭だらけになった。

可愛らしエダムの街並みと大混雑のチーズ市。

　エダムまではバスで４０分。車内には今後通過するバス停と到着時間が次々と表示されるので、安心して目的地まで乗車。うとうとしている間にエダムに到着。

　バスターミナルは街の外れ。他の観光客についていこうと思っていたのに、意外と降りる人が少ない。今一つ方角がわからないまま適当に歩き出す。小さい通りなので、名前も表示されていない。

　運河沿いをしばらく歩くと、前方に白いハネ橋が見えてきた。どうやら橋を渡った先が街の中心部らしい。

　その橋は人専用。その先も、車が一台通れるかどうかという狭い石畳が続いている。歩いている人もほとんどいない。静かな町だな、と思っていたのは一時のこと。前方から賑やかな物音が聞こえてきた。

　通りを埋め尽くす人人人。狭い道にせり出して作られたカフェのテラス席もいっぱい。今日は週に一度のチーズ市。昔のままのやり方を町の中心部にある広場で再現してくれる。そのせいで、広場の周辺だけ人とすれ違うのもやっと、という混雑ぶり。

　私たちも人の流れに乗って、広場へ向かう。ちょうどイベントが始まったところのようだ。麦わら帽子にバンダナというお揃いの衣装を身に着けた子どもたちが登場し、馬車に乗せられる。おじいさん、というよりおじいさんたちも同じ衣装を身に纏い、二人一組でそりのような入れ物に乗せたチーズを運んでいく。中には見ていて心配になるくらい高齢な方もいる。けれど、足取りは軽く、小走りで次から次へとチーズの山が移動する。

　それにしても見物客の数がすごい。広場をぐるっと囲む人々。最前列はもちろん子どもたち。ただ、悲しいかな、やっぱりオランダ。子どもだって背が高い。私たちとほぼ変わらない。よく見えないし、何ともまったり進行するので、途中で離れることにした。

　広場の周りには屋台が出ていて、もちろんチーズも売っている。次々味見もさせてくれる。まだ旅の初めではあったけど、あまりに美味しくて（しかも安い！）、思わず購入。外にそのまま置いてあるくらいだから、大丈夫だよね！？

　広場から少し離れると、途端に静けさが戻ってくる。きっと、普段はこんな感じなんだろう。ぶらぶら歩いていると、あっという間に聖ニコラス教会にたどり着いた。家が並んでいるのはそこまで。運河の向こうには草原が広がっている。本当に小さな町。エダムはレンガ造りの家々が並ぶ可愛らしい町だった。

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